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紫陽花の道

梅雨に入るにはまだ少し間がある涼やかな日
初めて川沿いの紫陽花の小道を見つけた

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日差しを遮るほどの大樹はない
そのせいだろうか
早咲きの紫陽花の花色が他所よりも
鮮やかさを増していた

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「幕末の歴史好きな方なら
        きっと喜ばれるでしょうね」
「あまりお好きではないですか?」
「わたくしは同じ歴史でもものづくりの皆様の
        歴史の方に興味がありますわ」
ふふふ と微笑むこの女性の目指す場所は
もう少し先に見えるはずだ

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ゆらりゆられて
差しつ差されつ
いつかこの柔らかな肌を腕の中に
そんな時間を夢見たくなる場所

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歴史の英雄たちと重ね合わせた
男のロマンなどという安っぽい言葉は
この女性の前では使いたくはない

青紅葉の部屋

桜の季節の後、数週間だけ楽しめる景色を求めて
ここに足を運んだ

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歴史ある建物と庭園の全てが柔らかな緑に染まる

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一足ごとに静けさと青紅葉に溶け込んでゆく
隣にそっと佇む男性とともに

言葉を交わさなくても触れる指先で想いが伝わる

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そのひと時を堪能する
優しく触れる腕に
時折耳たぶにかかる吐息に

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洛中を避けて

この時期あの女性がここにいるのはわかっていた

私の町家があるのをわかっていても
宿を取りにくいこの時期であっても
いつも決して甘えてきたりはしない

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例年より4日ほど早く見頃が訪れた桜花
きっと一人で楽しむには足が必要だと思って
桜が盛りの社で待ち合わせをした

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人で溢れかえる洛中を避けても
今年は楽しむ桜に事欠くことはない
宇治の地で紅枝垂のシャワーを浴びるあの女性の
横顔を見つめるうち午後の陽は落ちていった

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「お食事はやっぱり洛中ですのね」
まるで意地を張るかのように街中に戻らなかった
私と望月にゆったりと微笑みかける
その頬は春にしては強すぎる日差しに
ほんのり赤く染まっていた

今夜の肌に刻まれる縄痕を想い少し昂った

上巳の節句

厳しい天候の休日が続いたこの冬を裏切るように
3月はじめの土曜日は
抜けるような青空だった

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この地の名を冠した桜花の
濃いピンクの花びらに埋め尽くされた河原を
あの女性とそぞろ歩く

久しぶりに過ごした夜のあの女性は
桜に負けないほどに艶やかなのに
恥じらう様があまりにも可憐に過ぎた

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酷くしたくはない
けれどこの可憐さを突き崩したくて
あられのない声を上げるまで
幾度も責めた

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隣で右腕を預けて歩くあの女性の横顔には
あの可憐さも
乱れ切ったはしたなさも
今は残っていない

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長い黒髪が風になびくその瞬間に
はらりと落ちた花のように
白い首筋に浮かぶ赤い印だけが
俺の昨夜を物語っているだけだった

スーパーブルーブラッドムーン

「この部屋なら一番月に近いはずです」
そう告げてあの女性を誘った

地球に最も近く上がる・満月が・赤く染まる
35年ぶりの天体ショー

「月を楽しませてくれるのでしょう?」
窓辺のテーブルに置いたシャンパーニュを片手に
微笑むあの女性は月よりも妖しく微笑む

20時30分から始まった月の幽かな陰りは
2時間で清純な姿をダークなワイン色に変えていた
「もうよろしいでしょう
 身体が冷えてしまいます」
「今夜は月を見せて下さる約束でしょう」
「あと2時間私たちに待てと言うのですか?」
「お約束ですわ」

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グラスを満たすワインを月と同じ色に変えた
「わかりました
 お待ちしましょう でも」
窓の外の月を映すあの女性の黒い瞳を覗き込んだ
そのあとの時間が
どれほど狂おしくなっても知りませんよ
その想いを込めて・・・