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スーパーブルーブラッドムーン

「この部屋なら一番月に近いはずです」
そう告げてあの女性を誘った

地球に最も近く上がる・満月が・赤く染まる
35年ぶりの天体ショー

「月を楽しませてくれるのでしょう?」
窓辺のテーブルに置いたシャンパーニュを片手に
微笑むあの女性は月よりも妖しく微笑む

20時30分から始まった月の幽かな陰りは
2時間で清純な姿をダークなワイン色に変えていた
「もうよろしいでしょう
 身体が冷えてしまいます」
「今夜は月を見せて下さる約束でしょう」
「あと2時間私たちに待てと言うのですか?」
「お約束ですわ」

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グラスを満たすワインを月と同じ色に変えた
「わかりました
 お待ちしましょう でも」
窓の外の月を映すあの女性の黒い瞳を覗き込んだ
そのあとの時間が
どれほど狂おしくなっても知りませんよ
その想いを込めて・・・

迎春

あけましておめでとうございます

澄み切った空気が印象的な元旦でした

今年も宜しくお願い申し上げます


良いお年を

街からクリスマスの彩りが消えた朝
新年を迎える支度が整い始める

皆様 良いお年をお迎えくださいませ


聖なる夜に

寒さが一入厳しくなった朝
庭の灯台躑躅が紅く染まった

それまでの緑の庭では気づかなかった
南天の白い実が
星のようにきらめく

「ここにお迎えするか」

独り言ちた声が浮き立っていることに
かすかに頬を染めてしまった

またあの夜をもう一度繰り返せるのなら
どんな手間も惜しくはない


秋雨の間に

例年なら青空が専売特許のような季節なのに
今年は雨が長引いていた
鬱々とした気分で珍しくかけた電話に
あの女性は「秋雨もいいものですわ」と
いつもの声で囁いた

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だからここに誘うことにした
まだ紅葉には早いはずなのに
ほんのりと染まった一枝が二人を迎え
足元には名残の萩が小動物のように戯れる
今日この女性をここにお連れしたのを
喜んでいるかのように

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「見事な竹林ですね こんなに何種類も」
「ええ庭師の自慢の一つです」
金明孟宗竹、黒竹、孟宗竹、亀甲竹
いつもの歌うような声で竹の名前を
一つずつゆっくりとつぶやく
俺にはもう愛語のようにしか聞こえない

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結い上げた黒髪と大島の肩に大粒の雨が落ちた

「庭は明日でも逃げないから
          もう部屋に行こう」
差しかけた和傘の下でしなやかな香りが
やんわりと俺の体に寄り添う
ああ 今夜はあの竹のように
     この柔らかい身体を縛り上げたい

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人払いをした応接で
彼女を座らせることもせず唇を奪った

目の前の大粒の雨も
夏の名残の芙蓉の花も
秋の深まりを告げるツワブキの花も
彼女の眼には見えていない

このまま塩瀬の帯を解きたくなる欲望が
秋雨よりも激しさを増した