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蛍火 10

「私はね、結構好きなんですよ。このままここで祥子さんを可愛がりたくてうずうずしてるんです。」
そう仰りながらわたくしの腹部に押し付けられた塊は・・・もうすっかり猛々しく昂っておりました。
「夜目にも、祥子さんの肌ならまるで蛍みたいに白く光ってみえるでしょうね。その腰を露にして、ここで照明が回復するまで嬲らせてくれるんですか?」
あぁ・・・わたくしったら・・・なんて不用意に・・・この方とご一緒してしまったのでしょう。
つい先ほどまで、あんなに紳士的だったのに。
「だめ・・です・っ・・」
ふるふると首を振るわたくしの後頭部を押さえて、今度は最初から淫らな口づけをなさるのです。
「挑発したのは、祥子さんです。その声で、その慎ましやかな姿で、Gカップのバストの感触で、淫らなあなたの体臭で。このまま何もなしでは帰しません。ここで立ったまま犯しますか?それとも中に入りますか?」
「おねがい・・・中で・・・」 
ガラガラ・・ガシャ・・ン・・ わたくしを抱きしめたまま建物の中に連れてゆく田口さんの向こう・・・庭園の中へ・・またひどく近くに雷が落ちたのです。


引き戸一枚ですが、閉じれば雨の音はいくらか静かになりました。
その分わたくしの鼓動を・・・田口さんの荒い息を・・・必要以上に意識することになってしまったのです。
「ふたりともずぶ濡れですね。祥子さんは腰掛けてください。」
稲光に見えたそこは、上がり框から続いた3畳ほどの広さの板の間でした。
このまま立ち尽くしていても、雨は止む様子がありません。わたくしは濡れてしまったバッグを隅に置くと、素直に腰を下ろしました。
田口さんも、すっかり濡れてしまったコットン・ジャケットを脱いでいました。
白いノーネクタイのシャツが・・・コックコート姿の彼をデジャビュのように思い起こさせたのです。
「土足で上がる訳にはいきませんからね。」
その大きな白い肩がわたくしの前に腰を下ろしたのです。
ほとんど明かりはありません。漆黒の闇にときどき空をよぎる雷の光だけが、コマ送りのフラッシュのように二人の姿を浮び上がらせます。

「足を・・・」
わたくしの足首を掴むと、サイドカットのパンプスの踵に手をかけ、つま先を抜き取ってゆきます。そして右足も。すっかり濡れた靴を裏返す様にして踏み石に立てかけてくださいます。
「ありがとうございます。ごめんなさい、足元のことまでしていただいて。」
男性のお靴の始末をさせていただいたことはあっても、こんな風にしていただいたことは・・・
「・・・あぁっ自分でいたしますわ。」
わたくしの足首を掴んだままだった田口さんは、腰ポケットから取り出したご自分のハンカチで濡れた足先を拭いてくださるのです。
「いえ、やらせてください。祥子さんの身体を拭うなんて、美貴様でもおやりになったことがないでしょう。」
ふくらはぎの中程まで・・しっかりと拭うと両脚を揃えて板の間に上げてくださいました。
 
今度は田口さんが靴を脱いでわたくしの隣に上がっていらっしゃいました。素足にローファー・・・なんて粋な出で立ちだったのでしょうか。
「寒くないですか?」
「ええ。」
わたくしは、実はほとんど・・・足元とスカートの裾以外濡れてはいませんでした。雨が降り出してから、田口さんの大きな身体がすっぽりと被って・・・かばってくれていたからです。
「田口さんこそ、ひどく濡れたのじゃなくて?」
「大したことはありません。」
いつのまにか後に廻って・・・大きな手で肩越しに・・・両の乳房を抱きしめられたのです。
「お陰でこうしてまた祥子さんを味わうことができる。」
「はぁぁ・・ん・・だ・め・・」
わたくしの首筋に押し当てられた田口さんの唇は火の様に熱かったのです。
「味見ばかりさせて、ディナーはお預けなんてひどいですよ、祥子さん。」
アップにまとめた髪は、わたくしの敏感で感じやすい耳元も、普段は陽に晒す事のない首筋も無防備に田口さんに曝け出していたのです。
「このままだとスカートが皺になってしまうでしょう。ご自分で脱いでください。」
「ぁあぅっ・・・」
前に回した両手の指を乳房にめりこむようにさせて・・・わたくしを立ち上がらせるのです。押し付けられた田口さんの腰はスラックス越しにでもわかるほどに大きく熱く・・・既にひくついていたのです。
「祥子さん。」
わたくしの左の耳朶を田口さんが甘噛みします。
「雨が止んだら間違いなく人が来るでしょう。のんびりしている暇はないんです。」
たしかに仰るとおりなのです。でも・・・自分の手で服を脱ぐなんて・・・
「やぁ・・・」
唇と両手と昂った塊が・・・静かに、淫らにわたくしを責め立てるのです。
それでも、この場で・・いつ人がくるかわからないここでスカートを脱ぐなんてわたくしにはできませんでした。 コメント
通り雨が先を急がせたのかな。
「中で…」って最初からその気の祥子さん(笑)。

もっとも田口さんでなくても抱きしめてしまうだろうな。
女神が何度も機嫌よく微笑んでるとは限らないから。

2006/08/15 19:45| URL | eromania  [Edit]
eromania様

そうでしたか・・・わたくしの答えは、男性にはそんな風に受け止められてしまうのですね。

雨が足元の土を泥のようにして跳ね上げる外で、いつ誰がくるとも限らない屋外での淫らな戯れを続けることなんて、考えられなかっただけです。
それに、少なくとも雨がなければ、田口さんと寄り添わなくてもいられると・・・。
これ以上、田口さんを刺激しないで済むかと・・・そう思っただけでしたの。

2006/08/15 21:02| URL | 祥子  [Edit]
相変わらず、はっきりしないお天気の東京ですね。
先日のんびりとお散歩した、そこここに祥子さんと田口さんの影を感じてドキドキしてしまいます。
エアポケットの様に、人影が少なくなる庭園。スリリングな戯れ…。

2006/08/15 21:48| URL | るり  [Edit]
るり様

お散歩された庭園の、
あの公共の場とも思えない密やかで濃やかな空気。
田口さんの戯れを・・・お庭が許しているかのような
そんな不思議な感じさえ漂います。
よりリアルなドキドキを、
だれにも内緒で・・・るり様、楽しんでくださいませ♪

2006/08/15 22:25| URL | 祥子  [Edit]
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