21:00 8
「そうだね、それじゃ質問してあげよう。困った女性だね、私に手間を掛けさせて」ふふ・・と声には困ったそぶりも見せず、愉快そうに含み笑いをもらします。
そしてさっそく淫らな質問をはじめました。
「乳首を堅くとがらせたそのバストのサイズは?」
男性の双眸は、三角形のサテンの生地がたわわにまぁるい洋梨のような曲線を描く乳房を見つめていました。
「105のGカップです」
胸元が熱く火照るようです。
「ほぉっ・・・熟すると量感がまた違うね」
次の質問です。
「随分前から乳首を堅くしているね、祥子は。そんな大きい胸なのに感じやすいのかな?」
「・・・はい。とても敏感で・・感じやすいのです」
自分の口から・・・そんなことを言わなくてはならないなんて。
「そんなおおきなバストだ。祥子の乳輪も大きいのだろうね」
「そんな・・こと・・ないです。普通だと・・思います」
サテンの布地を透視するかのような男性の視線に、乳首が一段と勃ち上がってしまうのです。
「いゃぁ・・・」
はしたない質問に耐え切れなくて、わたくしは首を横に振ってしまいました。
「いい眺めだ。きみが少し動くだけでほらこんなに揺れるよ、祥子」
たゆん・・たふ・・んと揺れる乳房に、男性の視線が刺さります。
「モデルをするようなコ達のバストは風情がなくてね。きみのは魅力的だよ」
カメラマンとして・・・どれだけの女性を見て来た方なのでしょうか。
「乳首の色を教えてくれないか?」
「鴇色だと・・言われたことがございます」
以前、あの運転手さんがわたくしの身体を清めながら、そうつぶやいたことがございました。
「色白だからきれいだろうとは思いましたが、ふふ・・想像以上ですね」
左手でワイングラスを取り上げ・・・喉の乾きを癒す様にムートンロートシルトを一口含みます。
淫らな質問は続きます。
「そのランジェリーを引きはがしたくなりますよ。ところで、いつも祥子はガーターストッキングなのか?」
乳房の丸みから白い脇腹のラインを通って、ウエストを横切るサテンのガーターベルトへ・・・ そして留め具をつたってふともものストッキングへと視線が流れます。
「いえ・・・いつもではないのです」
愛液で濡れた太ももの内側が熱くなってゆきます。
「ほうっ。男を探している時だけかい」
嘲る様にからかうように・・・あの声で言うのです。
「お洋服のシルエットによって・・・です」
この方にはそんな風に思ってほしくない。誤解を解きたくて・・・あわてて答えてしまいました。
「今日以上にシルエットを露にする服で、男を誘うんだな」
すっと身を起こした男性は、右脚のガーターストッキングの吊り紐を、ぱちん・・とはじくのです。
「あふっ・・・ちがいます」
「こんなにフェロモンの薫りをまき散らしておいて、違うといわれてもね」
ふふ・・ストッキングで光る脚よりも、太ももの素肌に男性の視線を感じるのです。
「いつもこんなに濡らすのか?祥子は」
とうとう男性の質問が・・・もっともはしたない場所へたどり着いてしまったのです。
「いえ・・・いつもじゃ・・ない・で・す」
ようやくそれだけ答えました。
「こんなに色が変わるほどに濡らして、はしたないな」
太ももの合わせ目の濡れたサテンの部分を、男性の視線が奥へと這ってゆくのです。
「いやぁ・・・みないで」
あぁ・・また溢れてしまう。
「いつから濡らしてたんだい、祥子」
わかってらっしゃるのに・・・
「・・・美術館の・・エレベーターの中から・・で・す」
あまりのはしたなさに、本当のことを口になどできなかったのです。
「嘘を言うんじゃない、祥子」
やはり・・・知られていたのね。おねがい・・・ゆるして。
「もう一度聞くぞ、祥子。いつから濡らしていたんだい」
「あなたに・・・はじめて・・キスされた・ときから・・です。あぁぁ・・・」
はじめて逢った男性に、美術館のような神聖な場所でキスをされただけで。身体を反応させてしまうなんて・・・。
「いいこだ、祥子。そうだろう、あの後一緒に写真を見ながら歩いていて、私はきみのフェロモンに目眩がしそうだったよ。あの場で犯したくなるのを必死で堪えていたんだからね」
男性の赤裸々な告白が、わたくしの疼きをなおも煽るのです。
あのあとわたくしが男性に逆らえなかった訳を・・・聞かされた様に思えたのです。
サテンのパンティは次々と溢れる愛液に濡れそぼって、わたくしの姿をありありと浮き出させておりました。
「祥子の茂みは濃いのかな?」
「・・・いえ・・あぁ・・どうかお許しください。そんなこと、答えられません」
答えれば次につづく・・・さらにわたくしを嬲るような質問が・・・待っているだけなのです。
頭の後に組んでいた手を解き、あまりの恥ずかしさに顔を覆うとしたのです。
つと男性は立ち上がり、わたくしの両手を後ろ手にひとまとめに掴んでしまいました。
「まだ質問は途中ですよ」
もう一方の手で髪を引くと、仰向けた唇を乱暴に奪うのです。
「ん・・ぁあふん・・」
ムートンロートシルトの薫りの唾液が、わたくしの口腔に注ぎ込まれます。
「んん・・・っくん」
乱暴に舌先を踊らせると、はじめたのと同じ唐突さで唇を離しました。
「ここまでしても理性を失わないままなんて。はじめてですよ、祥子さん」
男性に向かって突き出された、バストを覆うブラの片側の紐だけを引き下ろすのです。
「こんなに熟した淫らな身体であれだけの責めをすれば、もう抱いてくださいと欲望に蕩けた眼で私にねだってもいいころなんです」
「あうっ・・・あぁはぁぁ」
露になった乳首をきつく吸い立てるのです。
「なのにあなたの理性は屈服しない。こんなに身体を疼かせているのに」
「やぁ・・ん・・ゆるし・・て・・」
舐め上げて舌でねぶり・・・
「あなたにはもっと時間を掛けたくなった。また逢ってくれますね、祥子さん」
男性はわたくしを捉えていた手を離すと腰を引き寄せ、敏感な左の乳首を甘噛みしながら・・・もう一方の手でパンティの中で大きく膨らんでいたぬめ光る真珠をなで上げたのです。
「あぁあああ・・・・い・くっ・・ぅぅぅ」
焦らされ・羞恥を炙られつづけたわたくしの身体は、それだけの刺激であっけなく達してしまったのです。
「・・・はぁ・ぁ・ん」
わたくしの両手は男性の頭を抱きしめておりました。
一瞬で達した緊張が解けたとたんに、両脚は力が抜けた様に崩れ落ちそうになってしまったのです。
「ははは。大丈夫ですか」
男性はわたくしをソファーの上に座らせると、口元に新たに注いだムートンロートシルトを差し出すのです。
気付薬のようなその液体を、わたくしは一口で飲み干しました。
「ごめんなさい。急に・・・」
はしたなく達した余韻にわたくしの声はまだ震えていました。
「いえ、いいんですよ。シャワーを浴びてらっしゃい。タオルは出しておいてあげますから」
男性の声が優しく響きます。
「だって・・・」
あなたはいってないのに・・・。わたくしは後半の言葉を飲み込んでしまいました。
「十分堪能させてもらいましたよ。今夜は」
比喩でもなく男性の顔は満ち足りておりました。
「ほんとうに?」
「ええ、それに祥子さんを本気で籠絡しようとしたら、今夜は時間が足りません。ははは」
愉快そうに笑うのです。
「祥子さんに興味を持ちました。明日からパリなのです。帰って来たらゆっくりお逢いしたいものです」
クローゼットからバスタオルを出し、わたくしをバスルームへと案内してくれました。
「30分後にタクシーを呼んでおきます。そんなランジェリーを身につけたまま電車で帰すわけにはいきませんからね。ゆっくり身支度をしてください」
バスルームのドアを閉めながら・・・男性はそう告げたのです。
祥子からの手紙-7
こんばんわ 祥子です。
長雨に落ち込みがちな気分を変えに立ち寄った美術館で、
思わぬ方と出会ってしまいました。
男性はあの後、1階の車寄せまでわたくしを見送り、
車に乗ったわたくしに1枚の名刺を差し出したのです。
そこには彼の名前と<フォトグラファー>の肩書き
そしてこのレジデンスの住所と携帯番号が書かれていました。
「パリから10日後には帰るから」
そう言った男性を残して・・・タクシーはわたくしの自宅に向かったのです。
不思議な方でした。
また・・・あの方にお逢いすることはあるのでしょうか。
わたくしからお電話することはきっとないでしょう。
ただ、またあの美術館で出会ってしまったら
わたくしは恋に落ちてしまうかもしれません。
まだ雨はつづいております。
秋晴れの日が恋しいと・・・思いました。
今夜のワインはシャトーラグランジュで 乾杯!!
21:00 7
「祥子。さぁそこに立ちなさい」引き立てるように・・・男性はわたくしの羞恥に染まった両肩を掴み上げます。
膝の間に、ソファーに寄りかかる様に座る男性がわずかに身を起こせば・・・わたくしにすぐに触れられる場所に立たせられたのです。
ゴールドサテンのランジェリーは、はしたない陰影を作り出していました。
Gカップのバストを覆う三角の布は、左右ともに中央に小指の先ほどの隆起の影を映し出し、茂みを覆うハイレグのパンティは・・・言葉と行為でこの身を煽られて、太ももの合わせ目の色を変えはじめておりました。
わたくしは両手をトレンチコートを脱がされた時にいわれたままに、体側にたらしておりました。
この姿のまま見つめられることさえも、肌を灼くような羞恥をわたくしに与え続けていたのですから。
なのに・・・
「両手を頭の後に組みなさい」
男性は身体を全て露にし、たわわな乳房を自ら引き上げてみせるようなポーズを要求するのです。
「・・・はい」
わずかに躊躇った後、男性の言う様に両手を引き上げました。
「いま君の身体が、どんなふうに疼いているのか聞かせてくれないか?祥子」
「えっ・・・」
男性はわたくしの口戯で昂った塊に自ら手を這わせたままで、とんでもないことを言い出したのです。
「聞こえなかったのかい?」
驚きに言葉を失っているわたくしに、男性はそういい募るのです。
「そんなこと・・・できません」
わたくし自身の口から、はしたなく疼いている身体のことを、それも今日はじめてお逢いした男性に話さなくてはならないなんて。そんなこととても出来ることではありませんでした。
「お願いです。どうか、おゆるしください」
わたくしが口にできたのは・・・ようやくそれだけでした。
「祥子、わたしの言うことが聞けないのかね。」

男性の暖かくてすこししめった手のひらが、わたくしのむき出しになった白い脇腹をなで上げるのです。
「はぁうっ・・・・」
それだけで・・・わたくしの身体はまた愛液を溢れさせてしまうのです。
「しかたない。それじゃ選ばせてあげよう。手を下ろしていいから、私の目の前でオナニーをしなさい」
「いやぁっ・・・・」
男性はあの甘い深い声のままで、はじめての男性の目の前で、わたくし自身を自分で慰めろというのです。
「女が決して他人に晒すことのない一番はずかしい姿だ。私はそれが見たいんだよ、祥子」
子供に言い聞かせるかのような慈愛に満ちた口調のままに理不尽な要求を繰り返すのです。
「そんなこ・・と・・だ・め・・ゆるし・て・・おね・・が・い」
わたくしの声はあまりのことに震えておりました。
どんな男性に黙って身をまかせるよりも・・・もっと淫らではしたない行為を要求されていたからです。
「私の目の前に横たわって、きみのその白い指で、下着を脱ぎながらオナニーするんだ。私の前でいったら許してあげるよ」
男性が求めているのは形だけの行為でさえなかったのです。
トレンチコートすら男性の目の前で脱ぐことができなかったわたくし自身の手で・・・最後に身を覆っているランジェリーを取り去り・・・自らの指で達する姿まで・・・この男性の眼のまえで見せろというのです。
「ゆる・・し・・て・・・」
要求のあまりの恥辱はわたくしから声さえ奪っておりました。
「どちらを選ぶ?祥子。本来なら私の最初の提案を自ら蹴ったのだからな、有無を言わせずにオナニーをさせるところだ。ただあまりに可愛そうだから選ばせてあげよう。祥子の身体の状態を・身体の全てを私の眼に晒したままで全て説明するか、私の目の前でストリップをしながらオナニーでいくか。どちらにするんだ、祥子」
いまの、はしたなく溢れさせた・・・疼き切ったからだの状態を口で説明するか?
男性の目の前で自らの手でランジェリーをとり去り・・・身体を慰めて達するか?
わたくしにはどちらを選ぶこともできませんでした。
男性と眼を合わせることも出来ず、指示された姿態のまま顔を背け・頬を染めて思い悩むしかなかったのです。
「迷い・戸惑う顔も魅力的だよ、祥子。ただ、そろそろ決めてくれないか?」
逡巡するわたくしに、男性の声が決断を迫るのです。
「これは僕にコートを脱がさせたことへのお仕置きなんだよ。これに応えられないなら、もっと厳しいお仕置きをしないといけなくなる。わかるね、祥子」
なんて羞恥に満ちたお仕置きなのでしょうか。
「さぁ祥子、私を待ちくたびれさせないでくれたまえ」
男性の左手の手の甲が、太ももをストッキングから素肌へとなで上げてゆきます。
「はぁぅっ・・・」
ふれるか触れないかの微妙な感触が、わたくしの疼き切った感覚を煽るのです。
くちゅ・・・ちゅ・・・ ざわめく快感を鎮めようと、太ももをこすり合わせる様にすれば・・・淫らな音と牝のフェロモンをサテンのランジェリーに滲み出させてしまうのです 。
わたくしはもう限界でした。
こんな状態のままで、男性の目の前に立ち続けることさえ難しくなっていたのです。
男性の視線と息づかいまでもが肌を舐めてゆくことを感じるのです
時折気まぐれのように乳房の下辺の丸みや、白い肌の腹部や、太ももの合わせ目の際に男性が這わせる指先にさえ、腰を落としてしまいそうなおののきを子宮に伝えてきたからです。
どれほどの時間が立ったのでしょう。
「言うことが聞けないみたいですね。両脚を開きなさい、肩幅くらいに」
甘くて深いあの声に厳しさを加えて、男性はわたくしに命じました。
「・・・ぃやぁぁ」
パンプスの間に男性の脚を入れられ、両手で強引に膝を割るのです。
「あぁぁ・・・・ゅるしてぇぇ・・」
室内の空気に触れ、太ももの狭間がすっと冷たくなりました。
「こんなに濡らして。いけない人だ」
ストッキングの上の濡れた肌を人差し指で触れて・・・ぬめる指先を鼻へ・・・
「いやぁ・・・」
「こんなに甘いフェロモンを薫らせる女性に逢うのも久しぶりだよ、祥子さん」
くんくんと・・・まるで犬のようにわたくしのはしたない薫りを愛でるのです。
そして・・・その指先を口に含んでから、ワイングラスからムートンロートシルトを一口流し込みます。
「どれだけ濡らしたら、理性をなくすほど乱れてくれるんだい」
わたくしの横顔を見上げながら、ため息のように切ない言葉を漏らすのです。そして淫猥な言葉も付け加えるのです。
「チーズよりも美味しいよ。きみの愛液は・・ね」
「おねが・・い・・ゆるし・・て、もう辱め・・ない・で」
わたくしはようやく哀願の言葉を口にしたのです。
「決めましたか?」
ソファーによりかかるように寛いだ姿勢で、性は冷静な一言を口にします。
「お話します。ですから もう・・」
「わかりました。その姿勢のままで、さぁ話してください」
わたくしが逡巡している間さえ、昂りをおさめることのない塊にまた男性は自らの右手を這わせはじめました。
「わたくしは・・・あぁどうお話すれば・・・」
淫らに疼いている身体の状態を言葉にすることなど・・・譫言のように嘆息を口にする以外にはございません。
覚悟を決めて口にしはじめたのに・・・言葉にならなくなってしまったのです。
21:00 6
男性の右手は、飼い猫の背を撫でる様に、すべらかなわたくしの黒髪を何度も梳るのです。「・・・ぃやぁ・・」
足元に絡み付くわたくし自身の姿態を、男性の眼はそのように見ていたのです。
彼の視線から身を隠す様に、横に流していた膝を引き寄せ・・・より彼の足元へと寄り添いました。
髪の感触を堪能したのでしょうか。
男性の右手は、飲み干したグラスをわたしの手からとりあげたのです。
「いいこだね。こちらにおいで」
膝を開いて・・・そのなかにわたしを跪かせました。
「ぁん・・・」
玩具を取り上げられた猫のような声をあげてしまいました。
「ごちそうだよ、祥子さん」
男性はチノパンのファスナーを開け、ボクサーパンツから硬度を増しはじめている塊を引き出したのです。
彼を見上げるわたくしの両手を取って、さぁ…と目だけで促します。
わたくしの右手は男性の腰に回され、左手は男性の指を絡められたままでした。
「唇と舌だけで愛撫しなさい」
甘さの増した声がそう告げます。
彼のひざの間に跪いたわたくしは、ゆっくりと顔を伏せてゆきました。
ぺちゅ・・・ぺちょ・・・
唾液をのせた舌先をやわらかく沿わせるようにして、塊の先端から上側を少しづつチノパンに向かって舐め上げます。
ちゅ・・・ちゅぱぉ・・
右の側面は唇で啄むようにしながら、舌先をくすぐるようにざわめかせて、ゆっくりとゆっくりと先端に向かって頭ごと引いてゆきます。
ちゃぷぅ・・・くちゅ・・
左の側面は下側から上側へ、上側から下側へ。ソフトクリームを舐めとるような舌の動きを根元までくりかえしました。
首をかしげるたびにわたくしの髪は右へ・・・左へ・・・、さらさらと背の上を流れてゆきます。
男性の塊はわたくしの頭の動きにつれて昂ってゆくのです。
やがて・・・わたくしの口元に突きつけるように立ち上がり・・・牡の薫りをくゆらせ、わたくしの中の淫らな欲望を誘惑するのです。
「ぁふん・・・」
くぽっぅ・・・ 先端に濡れた花びらのように舌先で湿らせた唇をかぶせました。
くちゅ・・・ちゅぷ・・・
ワインの薫りの唾液が塊にまとわりつき、舌はまだ触れていない裏の合わせ目を丹念になぞりつづけました。
「美味しいかい、祥子」
先ほどまでグラスを運んでいた左手で、わたくしの髪を撫でていた男性が聞くのです。
「ふぁ・・い・・」
唇を猛々しいほどに昂った塊に沿わせたまま、くぐもった声で答えます。
「ちゃんと答えなさい」
優しかった左手が髪の中に差し込まれ、くいっとわたくしの頭を後に引くのです。
「・・・っぁっ」
ふいの荒々しい腕の動きにわたくしは唇の端からわずかに唾液を滴らせ、はしたない顔を晒してしまったのです。
髪を背中に向けて引き顔を仰向けさせ・・・わたくしの眼を見据えて言うのです。
「もう一度聞くよ。美味しいかい、祥子」
「おいしい・・で・す ・・・ご主人様」
なぜなのでしょう。今日はじめて逢ったばかりの男性に、わたくしはそう答えていたのです。
「いいこだ。祥子、つづけなさい」
髪を掴んでいた手を離し、優しく撫でる様にしながらわたくしに唇と舌だけの口戯を続ける様に促すのです。
「上手だよ、祥子。いい気持ちだ」
時折わたくしの髪を撫でながら、男性はわたくしの行為と羞恥を煽る言葉を口にします。
「どこで覚えてきたんだい、淫らな舌使いだね。ふふ 若い男なら我慢できずにいってしまうだろうね」
その言葉を裏付ける様に、男性からも濃い樹液が滴りはじめていたのです。
「そこだよ、もっと舌をつかいなさい。ああ、祥子の口の中はいやらしいね」
男性の飼い猫のように呼び捨てにされ・・・言葉で辱められただけで、わたくしの身体は疼きはじめておりました。
男性のチノパンに包まれた膝にこすりつけるように動く乳房は、ゴールドのサテンのブラの中で先端を堅くしこらせてしまっていました。
両の手を捉えられ上体を伏せる様にした姿は、男性の眼からは・・・反らせた背中から跪いた腰を大きく後に突き出すような・・・はしたない姿勢だったようです。
甘く羞恥心を嬲る男性の言葉に・・・わたくしは耐え切れずに・・腰を淫らに振りはじめてしまったのです。
「ふふ 我慢出来なくておねだりかい。祥子」
一心に口唇での愛撫をつづけていたわたくしに、からかうような口調の甘い声が注がれます。
「そんなに腰を振って、きみのフェロモンでワインの薫りまで変わってしまいそうだよ」
「・・・い・やぁ」
無心なままの淫らな動きを指摘され、わたくしの身体はこおりついてしまいました。
「ほら ムートンロートシルトがこんなに甘い」
・・んくっ 男性はワインを一口含み、舌の上を転がす様にして飲み込んでみせるのです。
また一口・・・そして・・・わたくしの顎をついと引き上げて唇を合わせると、最前まで男性を含んでいた唇にとろとろと口中の赤ワインを流し込むのです。
「どうだい、祥子のフェロモン入りのロートシルトだ」
ただ恥ずかしさに視線だけをそらせるわたくしを、楽しげに見つめるのです。
・・こ・っくん・・・ゆっくりと室内の淫らな空気となじみ、男性の唾液を混ぜ込まれたワインは妖しく甘くわたくしの喉を落ちてゆきました。
「おいしい・・で・す」
欲望にかすれた声でようやくそれだけを答えました。
「違うだろう、祥子」
こちらを見ろと言わんばかりに顎に掛けた指に力がはいります。
「おいしい・・です。ご主人様」
男性と視線をあわせたままでまた・・・その言葉<ご主人様>・・・を口にさせられてしまったのです。
21:00 5
「どうぞ、靴のままで」その部屋は、多分・・・男性のオフィスとして使われている部屋のようでした。
あまり生活感のないシンプルな部屋です。カーテンの開けられた窓からは、先ほど彼に声をかけられた美術館のあるビルが見えました。
「祥子さん、そこで濡れたコートを脱いでください」
リビングとして使われている部屋の入り口には、コートスタンドがありました。
たしかにわたくしのコートは雨に濡れておりました。
男性が座っている白のキャンバス張りのソファーを、このままでは台無しにしてしまいます。
コートの下はスリップさえ着けていない・・・ランジェリー姿なのです。
「でも・・・おねがいです。何か羽織るものをいただけませんか」
男性のシャツでもいいのです。このまま・・・ここでそんな姿でいなくてはいけないなんて・・・わたくしは考えてもいませんでした。
「この部屋は寒くはないはずですよ。さぁ」
わたくしが逆らえない・・・あの落ち着いた声が響きます。
「自分ではできないんですか? 私がその釦をはずしてあげなくてはいけませんか、祥子さん」
ゴアテックスのレインジャケットを脱いだ男性は、ネル地のシャツ姿でした。
ソファーから立ち上がるとゆっくりとこちらに歩いてまいりました。
「いや・・・」
ヒールをはいて170センチを超えるわたくしよりも、なお大きい男性を前にうつむいたまま首を横に振りました。
「わかりました。後でお仕置きを覚悟してください」
わたくしの前に立ちはだかった男性は、胸元から一つづつ釦を外してゆくのです。
最後のダブル打ち合わせの内釦を外すなり・・・わたくしの肩から剥き下ろす様にコートの襟をはだけたのです。
「ん・・くっ・・・」
抱きしめるようにしてコートを背中でひとまとめにすると、男性はふいにわたくしの唇をふさぎました。
「んん・・ん・・やぁん」
縛められた様に両腕を後手にされ、ゴールドに輝くサテンのブラに包まれたGカップのバストを男性に差し出すような姿で、唇を貪られるのです。
「・・ぁは・・っく・んん」
素肌に触れる男性のシャツの感触は、まるでやさしく愛撫するかのような暖かささえ感じさせたのです。
男性の唇は野性的なのに繊細で、わたくしの理性をすこしずつ奪ってゆくのです。
「ん・・美味しい唇。赤ワインが似合いそうですね」
腕の力をゆるめると両腕からトレンチコートを抜き、無造作にコートスタンドにかけました。
男性の甘くて深い声に、わたくしはもう逆らえなくなっておりました。
「わかっていますね。そうです、その身体を隠さないでください」
わたくしは両手を自然に体側にたらした姿をとらされました。
「きれいです。さきほどのエレベーターの中の残像よりももっと」
男性はわたくしの周りを満足そうな表情を浮かべながらぐるりと回りました。
カメラマンとして美しいモデルの身体をたくさん見ているはずの男性の眼に、わたくしの身体がどう映っているのか・・・とても不安でした。
「熟した女性ならではの柔らかなラインと、この白くて肌理のこまかい肌。素敵ですよ、祥子さん」
シンプルなゴールドサテンのランジェリーは、一見水着を着ているかのようでした。
ただ違うのはその素材が薄く・・・美術館からつづく辱めに、堅く立ち上がった乳房の先端をくっきりと浮き立てていることでした。
ハイレグのパンティは慎ましくわたくしの秘めるべき場所を覆っておりましたが、サテンの輝きがその起伏を明らかにしておりました。
水着ではない証拠に、ガーターベルトはウエストを横切り、シャンパンベージュのストッキングを左右2カ所づつで吊り下げています。
そして足元はベージュに黒のポイントづかいのハイヒールが、そのままにされているのです。
「ゆるして・・・娼婦みたいな姿、いやです・・おねがい」
ひそめる必要はもうないのに、わたくしの声はひそやかにかすれておりました。
「いえ、白い肌が映えてきれいですよ。」
わたくしの脇を通り抜けて背後につづくキッチンに男性は向かったようです。
羞恥に震え・・振り向くことも出来ずその場で立ち尽くしておりました。
「美術館ではじめて見かけたときからこの姿を堪能したかったのです。さあワインを楽しみましょう」
戻って来た男性の手には、ムートンロートシルトのボトルとデキャンタとワイングラスが2つ握られておりました。
・・くちゅ・・・ちゅ 男性の手でランジェリー姿にされ立ち尽くしていた場所から、白いソファーまでほんの4・5歩でした。
なのに・・・わたくしの身体は淫らな音を隠すこともできないほどになっていたのです。
「ワインの薫りまで霞んでしまいそうなフェロモンですね、祥子さん」
ソファーに先に腰をおろした男性は、わたくしを前に立たせてそう言うのです。
「やぁ・・・」
グラスを並べワインとデキャンタをサイドテーブルに置く男性に、否定の言葉も出せずに・・・恥じらいの喘ぎで答えてしまいました。
「どれ」
男性の長い腕がわたくしの腰を引き寄せると、指をふとももの合わせ目に差し入れるのです。
「あん・・・や・・だめ・ぇ・・」
中指は折れ曲がり、パンティの裾をくぐってそのまま蜜を満たした狭間へとはいりこんだのです。
「こんなに濡らして」
指を抜きわたくしの腰を解放いたします。
男性の眼の高さに差し上げられた中指は、蜂蜜の壷から引き抜いたばかりのように濡れ光っておりました。
「はじめての相手と、それもキスしかしていないのに、こんなになるんですね。祥子さんは」
その指を舌を出してぺろっと見せつける様に舐めるのです。
「やめ・・て・・くださぃ」
はしたない印をあらためて見せつけられ、薫りと味を確かめられる屈辱にわたくしはまた・・・淫らな愛液を溢れさせられてしまうのです。
サテンのランジェリーは濡れるとわずかに色味を変えるのです。
微妙な色の違いを男性にさとられてしまわないか・・・気が気ではありませんでした。
「これではソファーを汚してしまいそうですね。困った女性だ」
恥ずかしさに顔を伏せたわたくしを、いたずらっぽく光る男性の眼が覗き込むのです。
「ぃやぁ・・」
顔を背けるだけで背にひろがっていた黒髪が、さら・・・と肩へこぼれかかります。
「ふふ、仕方ないですね。そこにお座りなさい」
男性が指し示したのはソファーに座る彼の足元の<ラグ>でした。
わたくしは彼の足元にうずくまる獣のように、ソファーと同じオフホワイトの毛足のながいラグに横座りに腰をおろしたのです。
ヒールのパンプスを履いた足を投げ出して、わたくしは男性の膝にしどけなく上半身を預けて座っておりました。
室内の空調は適度に温められておりましたが、男性特有の少し高い体温を彼の脚はチノパン越しにわたくしの素肌に心地良く伝えておりました。
足元にわたくしを侍らせたまま、男性はポケットから出したソムリエナイフを器用に操ります。
ポッン・・・完璧に密閉されたボトルならではの軽快な音を一つ立てて、コルクが開けられました。
ワインの真紅に半ば染まったコルクをわたくしに差し出すのです。
そこからはムートンロートシルトならではの、スパイシーなブラックカラントの薫りがかすかに立ち上りました。
男性はゆっくりとデキャンタージュして、空気を含んだ赤ワインをグラスに注いで渡してくれました。
ガーネット・レッドの波が揺れるグラスを互いの目線に掲げた乾杯の後で、舌の上を転がす様にワインを味わうのです。
空気を含んだワインは、独特の渋味を上手に押さえ込んだ見事な味でした。
「おいしいわ とても」
なかなか手に入れることの出来ないヴィンテージのワインの豊穣な味が、わたくしの警戒心をほぐす様にほんのりと酔わせておりました。
サイドテーブルの上で男性は手慣れた仕草でグラスをまわし・・・赤ワインを空気になじませます。
「これではまるで毛並のいいメス猫だね、祥子さん」
ゆったりした左手の動きを止めることなくわたくしを見つめて言い放ちました。

21:00 4
ブランドショップが切れるあたりでファサードもなくなります。傘をさそうとするわたくしを制して男性は大きな傘をさしかけ、さきほどよりも強くわたくしを引き寄せたのです。
「部屋に帰る前にコーヒーでも買っていきましょう」
すぐ先にはガラス張りのコーヒーショップがありました。
ドアを引き開けるとわたくしを先に入れ、傘を閉じて男性も入ってまいりました。
「僕はエスプレッソ・ダブルですが、祥子さんは?」
彼の右肩は雨で濡れていました。
「わたくしも同じものを。ごめんなさい、濡れているわ」
コートのポケットから出したハンカチで肩の雨を払おうといたしました。
「ははは 大丈夫です。ゴアテックスですから、中までは濡れないんですよ」
それでもおとなしく肩を下げて、わたくしのするがままに任せていました。
「ここで掛けて待っていてください。すぐですから」
通りに面したハイチェアのカウンターを指差します。
「コートの前を抑えたりしないで、わかっていますね。言うことを聞かなければ次の罰がまっていますよ」
わたくしのバッグを置くふりをしながら、小声でそう付け加えるのです。
「すぐに戻りますから」
あの声で明るくそう言うと、男性は椅子を引きそこに腰を座る様にと、わたくしを促すのです。
「・・・はい」
わたくしはステップにハイヒールの右足を掛けると、身体を引き上げその椅子に腰掛けました。
「ぁっ・・・」
高さのある椅子はコートの重みを、自然と左右に振り分けるのです。
ロングトレンチコートの裾はわたくしの両膝から滑り落ち、ストッキングに包まれた脚を露にしました。
それでも5つ目の釦が止められていたら・・・まだそれほどはしたない姿にはならなかったでしょう。
4つしか止まっていなかったために、ストッキングの上の白い太ももとストッキングを止める留め具までが・・・晒されていました。
コートの下に着ているとすれば、マイクロミニスカートにちがいない。上品そうな顔をした大人の女なのに、あんな部分まで晒して。あと少し・・・出し惜しみしないで見せろよ。
そう、見る男性に下びた想像をさせてしまうほどの淫らさが漂っていました。
幸いなことに外は雨が激しくなり、行き交う人がゆっくりとコーヒーショップのガラス張りのシートを眺めやる余裕をなくさせてはおりました。
ただわずかに数人の男性が、ふと眼に入ったわたくしの姿に気づき「本当か?」という顔をしてこちらをみつめるのです。
最初の通行人と眼があってしまってから、わたくしは顔を上げてはいられなくなりました。
とはいえ、眼を伏せればそこには露になった白い太ももの合わせ目が見えるのです。
ほんの数分のことのはずなのに、男性はなかなか戻ってこないように思えました。
どうしているのか気にはなるのですが・・・この姿のまま人が溢れる店内を振り返る勇気はありません。
きっちりと上半身をおおうトレンチコート。晒されているのは太ももの半ばから下だけ。
少し丈の短いスカートを身につけていたなら、パンティストッキングに覆われた脚を当たり前のように見せている・・・そんな場所なのに。身につけているのがランジェリーだけだというだけで・・・なんてはしたなくなってしまうのでしょう。
「お待たせ」
戻ってらした男性の声がいたしました。太く落ち着いた甘い声に、わたくしはほっとした安心感さえ覚えてしまったのです。
「いいつけを守っていたみたいですね。祥子さん」
テーブルの上のわたくしのバッグと、わきに掛けておいた傘を手にしながら、小声で付け足すのです。
「さぁ いきましょう」
くちゅ・・・男性に手を取られて椅子から降りたわたくしのランジェリーの下から・・・はしたない音が漏れてしまいました。
大きめな男性の傘だけをさして、少し激しくなった雨のなか男性の部屋へ向かいました。
男性が<私の部屋>と言ってらしたのはレジデント棟16階にある一室でした。
エントランスを入り、2人きりでエレベーターにいる時も男性は紳士的でした。わたくしによりそい、わたくしの荷物を持ち黙ってエスコートしてくださったのです。


