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夏の香り

ケヤキ並木のバス停の信号を渡り
柔らかな土を踏みながら民家の中の畑地を進む
突然あらわれたのは
見渡す限りの向日葵

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私と変わらないほどの背丈の花の中を
ここを教えてくれたあの女性の
つばのひろい帽子が揺れている

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いつもの自宅に迎えにいった
レクサスの後部座席ではなく
ロードスターの助手席に腰を下ろしたあの女性の
薔薇を思わせる香りを感じただけで
太陽を直視したときと同じ目眩がした

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向日葵の花畑は巨大な迷路
花と花の間をいくつか曲がると
あの女性と私の他にはだれも見えない
声すら聞こえないこの瞬間
私はあの女性の手を引き
唇を重ねた

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「だめ・・・」
久しぶりのあの女性の唇の柔らかさに
私の唇はそのまま
すべすべとした首筋から耳へと
キスを繰り返す
「あん・・・ほんと・・に・・・だめぇ」

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つばの広い帽子が足許に落ち
祥子さんの身体が
びくん・・・と震え
力が抜けたように私に委ねられたところで
唇を離した

足許の帽子をひろった途端に
レースのスカートの裾から女が香る
「あっ・・・だ・め・・」
もう我慢できない
彼女の手を掴んで車に戻る
ふたりきりになれる場所まで
あとどのくらいこの誘惑を堪えたらいいのだろう

蝉時雨の庭外伝/国会議員 高野篤秀

そのホテルは、私の地元の老舗料理旅館が県の委託を受けて運営をしていた。
いま<私の地元>と言ったが、厳密には私の妻の地元だ。
大学生の頃、政治に興味を持ち選挙事務所の手伝いをしたのを契機に妻の父親である参議院議員に認められた。卒業と同時に秘書になり、義父のすすめで一人娘を妻とした。義父の死と共にその地盤を引き継ぎ、今は私が参議院の議員会館に一室を持つ身となった。
だから、正直に言おう。<私の地元>にはなんの郷愁も愛着もない。
なのに、そのホテルを愛用するのはなぜか。
私の後援会の主立ったメンバーのお気に入りだからだ。特に地元からの陳情や後援会の面々が上京する時は、元々県の持ち物だったこのホテルを利用する。仰々しく議員会館に押し掛けられずに親身に話を聞くのには、このホテルは最適なロケーションなのだ。
三期目の今、次の当選を確実にするために必要な装置として私はこのホテルを大切にしていた。ましてや、妻も死んでしまった今ではなおさらだった。

ーー(中略)ーー

ライトアップされた庭の先にある茶室の濡れ縁に思わぬものを見付けたのは、料理がほぼ終わりかけ、後援会の面々の話題が義父の昔話になったころだった。私が秘書をしていたころから何十回となく聞かされた話ばかりだ。空でも相づちが打てるほどに。
その瞬間の私の相づちには、本当に気持ちなどほんの数ミリも入っていなかったに違いない。
それは、茶室の濡れ縁を保護するために設けられたガラスの壁に手を突いて立ったまま腰を高く上げた女と、後ろから突き入れている男の姿だった。
庭の照明は建物の中を照らすようには出来ていない。なのに、中庭を向いた女の柔らかくゆれる大きな乳房と白い腰の丸みだけが白く浮かび上がって見えた。
声など聞こえはしない。男女の表情もわからない。
が震えるのだ、悦びを示すように白い乳房が。
「先生、これからも地元のためによろしくお願いしますよ」
「はい。もちろんです」
後援会長の力強い言葉に視線を引き戻される。床の間を背にしているのは私だけだ。あまり露骨に見ていて、目の前の重鎮達に気づかれてはいけない、と瞬間的に思った。
「お義父様は立派な方だった・・・」
目の前の3人の老人の繰り言がまたはじまる。
私はそれぞれと顔を見交わして会話をしているふりをしながら、少しずつ窓の外へと視線を移してゆく。
先ほどまで揺れていた白い乳房は、男の手に握りつぶされていた。男の腰は崩れ落ちそうになる女をその漲(みなぎ)りで支えているのだと言わんばかりに深く激しく突き上げる動きを繰り返している。男の姿は闇に溶けて、はっきり見えている訳ではない。女のまぁるく白い腰の輪郭がひしゃげることでそうとわかるだけだ。
私も男だ。もっと露骨で大胆なAVも見た事がある。なのに、わずかに開いた障子の隙間から見えるライトアップされた庭の向こうの男女の姿に、急速に刺激されはじめていた。
「それで、高速道路の整備の件は?」
「もう少しだけ待ってください。今は野党の動きがあって強引に進めるには少し無理があります」
「道路が通れば、過疎化も解決すると思うのだが」
義父の時代から変わらない地方の交通行政への過度な期待。
「おっしゃるとおりです」
私の顔が曇ったのを見てとった秘書が、言葉を次いだ。選挙のためには必要なパフォーマンスかもしれないが、今党内で生き残るためには不要な動きでしかない。上手に後援会を宥めてゆく秘書にうなずいて見せ、重鎮達に賛意を示すような振りをしながら、再び視線を障子の外に戻した。

座卓を挟んでいなければ、私はなんの言い訳もできなかっただろう。
明らかに私自身を猛らせていたからだ。

茶室の濡れ縁に女はゆっくりと崩れ落ちていった。
跪いた女のまだ快楽に喘いでいる口元に、男は女の中から抜き出したばかりの大きなものを当然のように差し出したのだ。
ここからでも滑光るのがわかるほど男女の体液にまみれたそれを、女は舌を差し出し躊躇なく受入れた。
照明の加減なのだろう。先ほど揺れていた乳房と同じほどに白い頬と長い黒髪が見えた。瞳を閉じてまだ硬度の残る男のものを喉奥まで含んでゆく。
男は女の頭に手を添えもしない。
何度かなまめいて紅い唇を先端まで往復させた女が、目の前の男を見上げ、ゆっくりと唇から清めたものを離していった。

誰なのだ、あの女は。あの女の口を私のもので思う存分犯したい。
目の前の光景に欲望が沸き上がる。抑えきれない。




     第6巻表紙2
最新刊の蝉時雨の庭外伝より、書き下ろしをした<国会議員 高野篤秀>からちょっとだけ皆様にお披露目です。
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オレンジの海に

以前に彼女を誘った時はクルージングパーティだった
美貴にも山崎にも望月くんにも邪魔されずに
あの夜のように彼女を独り占めするために
今年は桟橋近くのホテルで催される社のパーティに誘った

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”花火を一緒に楽しもう”と添え書きしたカードを見て
一度は小さく首を振った彼女
「会社の方のご迷惑になってしまいますわ」
「構わないさ」
「でも」
「一つだけ約束して欲しい
 このパーティの間だけは他の男に誘惑されないでくれ」
「そんなこと起こる訳はありません」

その言葉を裏切るように
白い襟足を抜いた濃鼠に紺の絽の着物の彼女を
あの夜と同じように
何人もの男達が眩しそうな視線でとりまいていた

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ホテルのマネージャーに
スウィートルームのカードキーを持たせて
男達の中から彼女を連れ出すように指示したのは私だ
部屋まで案内されてきた彼女の帯に手を掛け
一枚ずつ剥ぐのももどかしく
着物ごと抱きしめ襟と身八口から差し入れた手で愛撫し
裾をまくり上げた姿で身体を重ねた時
デジャビュのように窓の外に大きな花火が上がった

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今年は〆の挨拶は兄にしてもらった
花火の終盤一枚一枚彼女の身体をおおうものを奪いながら
触れられなかった白い肌に触れてキスしてゆく
ただそれだけの繰り返しにに三度私は猛り
甘やかな喘ぎとしなる白い身体を貪りつくした

あの柔らかく白い肩がオレンジの波が寄せる岸辺を歩いてゆく
昨夜付けた左肩の茜色の印だけが
ひらひらと舞っているように見える

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あの涼しい部屋はあと2日私たちのものだ
彼女の甘い蜜を吸うのは
私一人でいい
オレンジの海に彼女をさらわれないように
目の前の白い肩をこの両手で掴んだ

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「部屋に戻ろう」
「ふふふ、もう?」
微笑みながら彼女の脚はホテルへと向かう
「お茶ぐらいして行きませんか?
 ベッドメイクがまだ済んでいないわ きっと」
鏡のように景色を映す水面が
彼女の艶めく声に ゆらり・・・と揺れた

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「ああ、そうしよう」
オレンジの海がざわ・・・と揺れる
まるで彼女を取り上げられた昨夜の男達のように

私だけのものだ あと2日は
そのくらい黙って見ていろ

心の中でそう呟く
手のひらに吸い付く白い肌の感触に
自分の中の牡を昂らせながら

初バナー♪

毎日最高気温が更新されるような過酷な夏になりました
皆様、体調は大丈夫ですか?

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こんなに長くブログをさせていただいていて
お恥ずかしいのですが(笑)

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日差しの眩しさに負けない
向日葵イベントがそろそろあちこちではじまります
無理なさらないように
でも、つかの間背の高い向日葵の影でキスするために
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蜜の悲鳴

彼女に早朝に起こされた
麻のジャケットに袖を通した私たちをのせたタクシーは
見慣れぬ場所を走りはじめる

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「勧修寺さん綺麗でしょう」
目の前の女性の声はいつもの滑らかさはない
ピアノのどこかのキーだけが抜けた様に
柔らかな声のどこか一音が微妙に消えている

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「ああ、早起きをしたかいがあったね」
八重の蓮の花と同じ色の鞭の痕が
白いサマードレスの背中に隠れているはずだ
何度も悲鳴を上げる彼女を縛り上げた縄は
内側から赤みを増した白い肌に容赦なく食い込んでいた

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まるで何年も会えなかった恋人を貪るように
心が飢えていた・・・彼女を求めて
花芯の奥の奥まで何度探っても
蜜にどれだけまみれても
眠りについたのが夜空が明るくなりはじめた時刻でも
まだ私は満足していなかった

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「この後の予定は?」
私の心の中はもう二人きりの場所と麻縄に向かっている
まだ一時間と経っていないのに
「ちょっと遠いですが、貴船で川床料理でもいかがですか?
七夕のおまいりもできますし」
ゆっくりと池を巡りながら
彼女のキーの抜けた声がそれでも蝉時雨をくぐって私に届く
木立に囲まれたこの場所で
背中に残っているはずの痕をあばきたくなる

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「それは粋だな。ゆっくりと川床で過ごすとするか」
「ね、よろしいでしょう♪」
私の気持ちを知ってか知らずか
彼女は日傘の影になった白い頬をゆるめた
眼の下に浮かぶ薄い隈が私の与えたものだと思うと
ほんの少しだけ気持ちが落ち着く

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時間はゆっくりある
少しお酒を飲んで・午睡をむさぼり
あの宿へと帰ろう
行灯に浮かぶ彼女の白い肌を
今夜もこころゆくまで苛むために
彼女の蜜のような悲鳴に
まみれるために