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ホットショコラ

雪も降らないのに凍えるほど寒い
寺を巡り・町を巡りあの女性を探す

当ても無く歩いても出逢えるはずもない
解っているのにあきらめられない
昨夜呼んだ芸・舞妓達が
柔らかな京言葉にのせて聞かせてくれた
あの女性がこの街に居るという事実が

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でも、さすがにそろそろ限界だ
アンティークな光があの女性に似合う
美しいサロンを訪れる
暖房だけではないあたたかさが私を包む
目の前であたため続けてくれる
ホットショコラをオーダーする

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甘過ぎないコクのある滑らかさが
私の舌にからみつく
まるであの女性と交わすキスのように
そう想うだけで身体の芯に火がついた

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「ありがとう
 バレンタインにはホットショコラね
 本当に美味しかったわ」

階下から微かに声がした
舌を焼きながら席を立つ
なのに・・・
   あの女性はもうそこにはいない

しん・しん・・・

「今年はいつもより暖かいのね」
昨日、ホテルのソファーで呟いた
この人を見て急に決めた

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実家に置いてある車のタイヤは
偶然にも正月に帰省した折りに
スタッドレスに履き替えたばかりだった

「たった2時間足らずなのに」
印象的な瞳がおおきく見開かれる
それだけで幸せな気持ちになる

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さく・さく・さく・・・
粉砂糖をまぶしたような足許の雪は
今朝舞っていたものなのかもしれない

もっと降り落ちたばかりの
真っ白な雪にこの人の足跡をつけて欲しい
沈み込みそうになる身体を
そっと抱き寄せる言い訳になるから

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「つららなんてひさしぶりね」
私はあの雪の別荘以来だ
この人もそうだといい
   ・・・心からそう思う

暮れ始めた里に雪が舞い始める
明日の朝には生まれたての雪景色を
この人に見せられるかもしれない

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「やっぱり寒いわね 
  でも綺麗 ありがとう」
優しく搦められた指先を握りしめる

凍える日なのにあたたかい指先に
私の中の男が溶け出してゆく
「早く宿に向かいましょう」