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銀幕の向こう側 8

「そんな風に綺麗に泣けるのは、哀しいね。」
ボトルの最後に残ったワインをご自分のグラスに注いで、目の前の男性はぽつりとそう呟きました。
「最初、君が泣いているなんて全く気付かなかった。映画に夢中になっていたせいもあってね。」
男性が水滴のついたチェイサーのグラスを取り上げます。きっとワインで奢った口を潤すためでしょう。それほどまでに、今夜の白ワインには独特のコクがありました。
「でも、母親が息子の元を去るシーンで私の視界にはいった君の視線がね、まっすぐ画面を見ている人のものじゃないことに気付いてしまったんだ。それで気になって見つめていたら、君はいまと同じ様に、綺麗なままで泣いていた。」
その手の中のグラスをテーブルに戻す事なく、男性は話を続けました。
「はらはらと・・・花が散る様に落ちる涙を、私ははじめて見るような気がする。声も無く、でも涙が止まらないなんて、この女性はどれだけ哀しみを抑え込んでいたのだろうと思うと眼を離せなくなった。」
自分でも説明のつかない気持ちを、目の前の初対面の男性が次々に言葉に変換してゆくのです。
そのことに、わたくしは戸惑いと安らぎを感じはじめていました。
「もっと若かったなら、もっと愚かだったなら、君はこんなに哀しまずに済んだだろう。取り乱し・相手の女性を・裏切った男性を罵倒して、今頃はもう遥か過去のことのように今夜の出来事にも対処できていたと思うよ。」
はらり・・・ その言葉にわたくしの眦からはまた涙が溢れ出したのです。
 
「今夜の映画の若いヒロインのように、私を打ってみないか?」
「えっ」
チェイサーのグラスを置いた男性の突然の申し出を、わたくしは思わず聞き返してしまいました。
「憶えてないか? 息子のために母親が置いて行った若い恋人。その彼女は息子に乞われるままに、彼の母親に教えられたサディスティックな行為を幼なじみの給仕の男の子に加えるシーンだ。」
憶えていました。華奢で聡明そうな金髪の女性が、去って行った母親の正体を知ろうとする愛しはじめた男性の要求に応えて、幼なじみを拘束し・・・二つ折りにした革ベルトで打ち据えるシーンのことです。
「もう、時間を逆行させることはできない。後悔も君には似合わない。だから、今夜ここで哀しみを全て吐出してゆきなさい。」

ソファーから立ち上がった男性は、ベッドの上に置いた彼のバッグから黒革の房鞭とシルクのスカーフを取り出したのです。
「打ち方は知っているね。自分で打ったことはなくても、打たれたことはあるはずだ。」
房鞭を、男性はわたくしの膝の上に置いたのです。
「今日の映画を見ている君の表情でわかったよ。ノーマルな通り一遍の行為しかしらない人間にはあの映画は過激すぎるし、本当の意味も解りはしない。」
ブラウンのストライプが走るシャツのカフスの釦を男性は外しはじめたのです。
「涙を流しながら、スクリーンを見つめる君の表情と、先ほどまでの話で私は確信した。君は、こちらの世界の住人だ。」
シャツの第二釦に手が掛かりました。わたくしをみつめたまま、男性は順に釦を外してゆきます。開いた胸元からは、滑らかな・・・男の肌が現れました。
「気が済むまで、私を打ってごらん。さぁ」
シャツを座ってらしたソファーの上に置かれると、男性はそれを窓際の少し離れた場所へと押しやりました。
続いて、飲み物とわずかに残ったお食事の乗ったテーブルも。
東京湾の夜景を切り取ったような大きな窓の前には、わたくしの膝にある鞭を振るうための広い空間が確保されてゆきました。
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コメント
 気持ちを打ち付ければ心は晴れるのでしょうか。
その痛みを受け取った男性は満たされるのでしょうか。
どうぞと差し出される身体をありがとうと受け取る。
アブノーマルな行為は男女の愛とは
違うところに突如むき出しの愛が現れ
そのあまりの強い力にさやかは驚くのです。

2006/08/29 12:15| URL | さやか  [Edit]
さやか様
突然のこの方のお申し出に戸惑っているのはわたくしも同じです。
むしゃくしゃするから、ヒステリックに八つ当たりをする。もともとそんな思考はないのですから、びっくりしております。
この男性のお考えがどこにあるのか・・・。
いまのわたくしには、まだわかりません。

さやか様。この場を借りて・・・。
実はわたくしのブラウザが悪いのか、さやか様のブログにコメントが出来ない状態になっているんです。
いろいろコメントさせていただきたいことがあるのに・・・。試行錯誤してみますが、しばらく書き込みさせていただいてないのはそういう理由なので、どうかご容赦くださいませ。

2006/08/29 13:19| URL | 祥子  [Edit]
dtiブログ
 まあ、申し訳ありません。
dtiブログの調子がイマイチみたいなんです。
一番のピーク時にブログが表示されず
dtiブログに転送される不具合があるらしいんですが、さやかのところでは現在、もう一方。
同じコメントの書き込めないという症状を
訴えられた方がいらっしゃいます。
その方は次の日は書き込めたようです。
現在問い合わせ中です。
発展途中のブログシステムなので
いつも次々と不具合が続き、はらはらいたします。

 鞭で打つのは物に当たるのとは違いますよね。
何しろ相手は痛みを感じる人間ですから・・・・。
でも、この世界の方には飛べる時空があり
そして見える別の空間があるから・・・。
それが慰めになる時もあるのでしょう。
祥子さまが一枚皮を脱ぐ時が見えるようです。


2006/08/30 16:05| URL | さやか  [Edit]
さやか様
コメントの不具合の件、ご丁寧にありがとうございました。
それぞれのシステムによっていろいろあるようですね。
わたくしのもう一つのshinobiでも、コメントのURLを記入する欄にURLを入れると投稿禁止ワードアラームが出るというトラブルが。コメント本文にはどれだけURLを入れても大丈夫なんですけれどね(笑)。
早く回復して、さやか様のところにコメントさせていただけるようになるのを楽しみにしています。

打つ行為に戸惑いながら踏み出してゆくわたくしがおります。
これで何が変わるのか・・・でもすこしだけわたくしの中が変わっているのも事実のようです。

2006/08/30 17:54| URL | 祥子  [Edit]
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