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唐紅 8

その部屋は6畳ほどの小部屋でした。
扉の左手には鏡台が置かれ、掛け布を施された鏡の前には氷の入った緑茶が用意されておりました。
鏡台の前の椅子に腰掛け喉の乾きを潤そうとしたわたくしの眼を奪ったのは、衣桁に掛けられた着物でした。
 
室内装飾の一部なのでしょうか。 
黒地に深紅から朱赤までの紅葉を散らした見事な友禅でした。
肩には月待ち月を浮かべた夜空のような、黄色と黒の大胆な柄の半巾帯が掛けられ、ところどころに遊ぶように白兎が浮かんでおりました。
「こんなに素敵な着物ならあちらのお部屋に飾られたらいいのに」 
鏡台の椅子に腰掛け冷たい緑茶で火照りを覚ましながら、うっとりと見つめておりました。
今宵のこの場に最も相応しい意匠、選んだ女将のセンスの良さに思わずため息すらもれてしまいます。
 
「お待たせしました」 
先ほどの脱衣所からの扉を開けて運転手が入ってまいりました。
こちらの宿のものなのでしょうか。彼の長身にすっきりと合う縞の浴衣を着ておりました。
「ね 見て、綺麗ね。このお着物」 
「お気に召していただきましたか」
「えっ・・・」 
一瞬彼が何をいっているのか理解できませんでした。
「今夜の祥子様のお召し物です。お着替えを手伝わせていただきます」 
彼はそう言うと鏡台の掛け布を引き上げ、わたくしの髪を袂から取り出した柘植の櫛で梳りはじめました。
洗い髪は滑らかにまとめられ、先ほどと同じ赤い珠のかんざしですっきりとアップにまとめられました。
コットンと化粧水をわたくしに渡して、彼は着物の陰から黒塗りの乱れ箱を持ってまいりました。
 
黒塗りの乱れ箱の中は深紅の絹で覆われておりました。
赤の綾絹は長襦袢なのでしょう。紅葉の刺繍が施された半衿がつけられていました。 
乱れ箱の端には赤の伊達締と数本の紐、赤の絞りの帯揚げと小振りの帯枕が並べられています。
彼がしなやかな指で引き上げた長襦袢の下にあるはずものは白の肌着・・・そう思っていた予想は見事に裏切られたのです。
深紅の綾絹の長襦袢の下に並べられていたのは・・・深紅のランジェリーのセットでした。
繊細なレースを使ったクォーターカップのブラジャー、Tバック、ガーターベルト。それに、白のストッキング。
わたくしのサイズで整えられたのであることは一目みてわかりました。
 
「本来でしたらこのようにお召しいただくことはないのですが、今宵の主の趣向です。どうかお付き合いください」
運転手は驚くわたくしの手から冷茶のグラスを取り上げ、部屋の中央に立たせました。
「失礼いたします」 
左胸に折り込んだバスタオルの先を引き出して・・・はらりと足元に落とします。
髪だけを結い上げた姿で白い肌を全て彼に晒されてしまいました。
「・・・ぃゃ・・・」 
扉一枚向こうには男性が露天風呂に浸かっている、そのことがわたくしに抗いの声を潜めさせたのです。
 
彼はガーターベルトを手に取るとわたくしのウエストに巻き付けました。
目の前に跪いて左脚から白いストッキングを履かせ、ガーターベルトに止め付けます。
次いで右脚も・・・・。
わたくしはなに一つ身につけていないのです。 
跪く彼の目の前には想像をすることすら恥ずかしい、はしたない姿が繰り広げられているに違いないのに・・・黙々と事務的にわたくしを装わせてゆくのです。
「ぁぅっ・・・」
右脚を畳に下ろすとTバックをとりあげ足首を通し・・・立ち上がるようにして腰骨まで一気に引き上げます。
 
次に手にしたのはブラジャーでした。
アンダーバストに合わせて背中のスナップを止め、ストラップを左右の腕に通してゆくのです。
深紅のブラジャーのカップは1/4しかありません。
ただでさえ深いGカップを必要とするわたくしの乳房は、下辺をレースで支えられているだけで白い肌も鴇色の頂きもほとんどが露になったままでした。
「こんなの・・・だめ・・・」 
実際に身に付けているわたくしの視点からですら、こんなにも淫らな姿なのです。
向かい合う男性から見たら・・・どんなにか・・・
「お着物ですからこのほうがよろしいのです。普段にお使いいただけるハーフカップのものとスリップは別にご用意してございます。ナチュラルカラーのストッキングも、主が以前にお約束したものだと申しておりました」

「さぁ・・・どうぞ」 
運転手は深紅の長襦袢を広げ・・・わたくしの肩に着せかけました。
しっとりとした重みの綾絹はわたくしの肌に吸い付くようでした。
「苦しかったら仰ってください」 
赤い紐をくわえ長襦袢の前を持つと少し強く前を引き合わせました。
わたくしの豊かな乳房は絹に引き絞られる様に押し込めるのです。
きゅっ・・・ 胸高に一本の紐を渡し縛ります。
衣紋を抜き襟元を整えると紅と紺糸で織り上げられた伊達締めを締め付けます。
いつもでしたら着物を着る時には特別な肌着を必要とする胸元は、厚みのある綾絹だけで見事に整えられてしまいました。
 
「失礼いたします」 
長襦袢と同じ様に衣桁にかかっていた着物を着せかけます。
長襦袢と着物の裄丈、身幅、長襦袢の着丈。
普通の女性よりも背も高くボリュームのあるわたくしに、ぴったりの丈に仕上がっておりました。 
お茶会や観劇などで着る普段着さえも、出来合いで販売されているものでは着る事ができず、誂えざるを得ないわたくしにとって・・・こんなに身体にフィットする着物は久しぶりでした。
そういえば先ほどの女将も背の高い方だったわね。
ほっそりとした、でもすらりと背の高い女将を思い出したのです。
きっと女将のコレクションの1枚なのでしょう。
翻る裾の内側までも紅葉が染められた丁寧な仕立てに、一人で納得をしておりました。
 
運転手はわたくしの前に回り裾をととのえ、腰骨の上で紐を掛けます。
「あん・・・」 
身八ツ口から差し入れられおはしょりを整える手が、絹に縛められている乳房の上を撫でるように走るのです。
「申し訳ございません」 
彼の冷静で真剣な声が、わたくしが感じるかすかな快感さえもはしたないと咎めるように聞こえます。
「・・・いいえ」 
恥ずかしさにかすれる小さな声で、そう答えるしかありませんでした。
 
しゅっ・・・しゅ・・・ 襟元を整え、帯下に当たる場所に紐を掛け伊達締めを締めます。
着物を着慣れた女性でもこうはいかないと思えるほどの手際の良さで、わたくしを着付けてゆくのです。
深紅の腰紐も伊達締めも、彼の手にかかると魔法の様にぴたりと決まるのです。
決してきつかったり苦しかったりはいたしません。
それなのに身体に沿う様に一部の狂いもなく縛め止められてゆくのです。
正面から着物をまとったわたくしを満足げにみつめると、彼は半幅帯に手を伸ばしました。
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