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Fireworks 15

コン・コン・・・
「石塚様。下のパーティルームで皆様がお呼びです。」
ドアの外から先ほどのパーサーの声がいたします。そろそろ会もお開きの時間なのでしょう。
「わかりました。すぐに下ります。ありがとう。」
そのお返事は、石塚専務のお声でした。
「支度はできましたか?」
「はい。」
振り返ったわたくしの視線の先には、扉に向かったままに立たれた石塚さんの背中が見えたのです。
わたくしのお願いを聞いて、ずっと振り向かずにいてくださった・・大きな背中が。
「お待たせしました。」
わたくしはその背中に縋る様に寄り添ってお声をおかけしたのです。
「ありがとう、祥子さん。素敵だったよ。もっとずっと独り占めしたいが、もう岸につくらしい。また、逢ってくれるね。」
「ふふふ、わたくしでよろしければ。」
「ありがとう。じゃ、行こうか。」
「どうぞ、先に戻ってくださいな。わたくしは少し遅れてまいります。」
いや、構わない、一緒に・・・石塚さんの表情はそうおっしゃっておりました。
でも、わたくしがなぜそう言うのかを一番ご存知なのも・・石塚さんでした。
「わかった。」
一言のもと頷かれると、竹上建設 石塚専務の表情で特別室の扉を開かれたのです。



祥子からの手紙ー15

わたくしが1階のパーティ会場に戻った時、石塚さんは段上でスポットライトを浴びてらっしゃいました。
「それでは、皆様のご発展を祈念いたしまして一本締めをさせていただきます。よぉーっ。」
パァン!! 会場全体に全員の手締めの音が響きました。

”日の出桟橋に着岸いたしました。スロープの用意ができるまで、いましばらくこの会場でお待ちください。“
女声のアナウンスが流れます。
弦楽四重奏が低く奏でられるなか、石塚さんとお父様・お兄様の三人はパーサーに先導されてお見送りのために先に会場を出られました。
”それでは、出口に近い方から順にお進みください。”
80人近いお客様が、ゆっくりと花火とフレンチディナーに彩られたパーティ会場を惜しむように下船してゆかれます。
スロープにさしかかったところで、偶然にもわたくしのとなりに長谷川さんがいらっしゃいました。
黙って、隣を歩かれて・・・別れ際にわたくしの方を見ることもなく一言だけおっしゃったのです。
「必ず連絡する。待っていてください。」
そのまま、3人の部下の方達と先に進まれてゆきました。

わたくしは、人の流れに逆らわずにゆっくりとスロープを下りたのです。
一番下には、迎えて下さった時と同じ様に竹上建設のトップ3が並んでらっしゃいました。
「ありがとうございました。とても楽しかったです。」
そうご挨拶をして失礼しようとしたわたくしに、握手を求める形で石塚さんが思わぬ言葉を囁かれたのです。
「送れなくて申し訳ないが、祥子さんのための車を用意してあります。それで、帰ってください。」と。

わたくしのための車?
不思議に思いながら、ゲストハウスを出たわたくしはその意味をすぐに理解したのです。
そこには、セルシオと望月さんが待っていらっしゃったのですから。
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コメント
(ё_ё)キャハキャハ
 その車の中には美貴さんは乗ってなかったんですの?
まあ、残念だわ。
ちょっぴり物足りなく思っておりましたのに・・・。
それとも望月さんと・・・しっぽり。
クスクス。
その話は、な・い・し・ょ、ですね。

2006/10/02 07:42| URL | さやか  [Edit]
祥子様へ
最後は嫉妬に狂った長谷川さんが、祥子様を連れ去って責めるのかと思いきや望月さんとは、石塚さんも心憎い粋な演出をなさいますね。

2006/10/02 08:36| URL | tako  [Edit]
はじめまして。
ブログにコメントいただき、ありがとうございました。
いつもドキドキしながら、拝見してました。
文章も祥子さんも、とても上品なのに、とても淫らで・・・
読みながら自分の体の芯が熱くなってしまうのが分かります。。。(恥)
今回の最後はまた何か期待してしまいますね・・・
これからも楽しみにしています。

あと、断り無く勝手にリンクしてしまい、申し訳ありません。
何か不都合があったなら、すぐにおっしゃってくださいね。
よろしくお願いしますv


2006/10/02 11:23| URL | あや  [Edit]
うたかたの、そして花火のように、一気に登り詰めて、すとんと終わってしまいましたね。

目元の翳は長谷川さんには隠せたのでしょうか。
さぞかし、長谷川さんの視線が痛かったでしょう。

下船したら、望月さんが待っているなんて、石塚さんの心憎い配慮?でしょうか。
多くの望月さんファンが、喜んでいる様が見えるようです。

2006/10/02 17:30| URL | masterblue  [Edit]
心憎い演出やな。さりげなくこういうことのできる男は
男としての奥行きが深い。

だからその先が知りたくなる。離れがたくなる。
女性なら誰もが確かめたくなる男なのかな。
でも祥子さん以外は確かめることが許されない
のかも知れませんね。

2006/10/02 22:24| URL | eromania  [Edit]
秋の長雨
また夜になって雨が落ちはじめてまいりました。
今週はレイニーウイーク・・・だそうです。

さやか様
明後日からのお話に・・・残念ながら美貴さんは登場いたしません。
でもね、望月さんとご一緒だから沢山美貴さんの近況を聞くことも出来る筈です。
だから、ぜひ<夢のかよひ路>にもお越しくださいませ。

tako様
石塚さんもまさか同業者にわたくしと深い仲の男性がいるとは想像もしていなかったでしょう。
それでも、他の誰かにこのあとお持ち帰りされてしまわないか・・・とは心配していたみたいで、望月さんを呼んでくださっていたんです。
そんな心遣いが、石塚さんの優しさです。

あや様
ようこそお越しくださいました。
わたくしも時々お見かけしていながら、コメントも差し上げず失礼いたしました。
リンクの件は、嬉しかったです♪
これからもぜひよろしくお願い致します。
よろしければ、相互リンクさせていただいてもよろしいですか?

masterblue様
花火の逢瀬に相応しい、ほんの一瞬燃える時間をお届けしてみました。
石塚さんは本当はこの後インターコンチネンタル東京ベイを予約していて、わたくしを招待するつもりでいたのですが・・・お父様に下船しても仕事だぞ(この後接待なんです)と念を押されて、泣く泣く望月さんに連絡したそうです(笑/後日談)。
長谷川さんのお話は、いましばらくお待ち下さいませ。

明日の<祥子の日常/独りの夜>の後、明後日からは<夢のかよひ路>をお届けさせていただきます。

2006/10/02 22:26| URL | 祥子  [Edit]
長谷川さんに掠め取られるよりは…。
お互いの表裏を知った方に祥子さんを委ねる事を、石塚さんは選ばれたのですね。心憎い展開…!
今年の仲秋の名月は6日。今夜もうっとおしい雨模様。
すっきりと望月を仰ぎたいものですね…。

2006/10/02 22:33| URL | るり  [Edit]
るり様
ふふふ、望月さんが待っていてくださるとは思っていませんでした。
<夢のかよひ路>は、<初雪>でまだ伝えしていなかった望月さんとの帰路のことも・・・お話することになりそうです。

でも、あまり待たせてしまうと長谷川さんが焦れてしまいそうです。どういたしましょう。

2006/10/03 07:15| URL | 祥子  [Edit]
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