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夢のかよひ路 53

ここは、望月さんのお父様の持ちものなのだそうです。京都で育った彼も、子供のころから何度も来ていた場所だそうです。
<下田の寮>と、望月さんは古風に呼んでいました。
障子から差し込む光は、眠り込んでからまださほど時間が経っていないことを示しておりました。

わたくしは、そっと頭を望月さんの腕から外しました。
腕枕は、わたくしがとても好きな・・・男性にしていただく行為の1つです。
でも、現実には人間の頭はとても重いのです。長く腕枕をしていただくのはとても疲れて腕の負担が大きいものです。
それでも望月さんは、以前箱根の宿でわたくしが甘える様におねだりをしてから・・・ずっと忘れずにわたくしが眠りに入るまでの時間は、必ずそうしてくださっていました。
「腕が痺れます。」
と頭を外そうとしても、そんなのは構わないと昨晩も同じ姿勢で、抱きしめて眠ってくださったのです。

「眼が覚めましたか?」
望月さんがわたくしを見つめてそう口にしました。
「おはようございます。」
起き出して居住まいを正してそう言おうとしたわたくしを、望月さんは布団の中に押しとどめたのです。
「おはよう・・ございま・す・・・あん・」
望月さんの唇は、すかさず早朝のキスを奪うのです。
それも・・・目覚めるための爽やかなキスではなくて・・・欲望の・・にじむ・・・キス。
「ん・ふ・・っく・・ん・・」
ちゅぱ・・ちゅく・・ 窓の外から聞こえてくる波の音よりも鮮やかに、二人の唇と舌が奏でる水音が望月さんの腕と手で両耳を塞がれたわたくしの頭の中に響くのです。

「こんな、なんです。」
望月さんは、真新しいダブルサイズのお布団の中で横向きに抱きしめられて身体に敷かれたようになっていたわたくしの右手を、彼の寝間着の腰に導きます。
合わせた浴衣の前は・・堅い望月さんの塊が熱く昂っていたのです。
「きのう・・あんなに・し・た・・のに・・」
望月さんの左手は、緩くリボンで縛った黒髪を除けてわたくしの首筋を・・・感じやすい首筋を愛撫しはじめるのです。自由のきく右手は、わたくしの手が彼の塊から離れないように抱きしめてそのまま背筋を・・・ゆっくりと上下に中指の指先だけでなぞるのです。
盆の窪から肩甲骨の間を通って腰が反る尾てい骨の少し上まで・・・。そしてその逆の道筋をゆっくり・・・。

ほんの数時間前、檜で作られた半露天の温泉を出た時、わたくしに用意されていたのは柔らかな寝間着1枚でした。
それを望月さんはやさしくゆったりと着せて、伊達締め1本で留めてくださったのです。
「そうです。祥子さんといると何度でも牡になれるんです。」
彼の着付けの腕は確かでした。寝返りを打ちながら数時間を布団の中で過ごしても、寝乱れたりはしていなかったのですから。
「はぁん・・だめ・・・」
ただ、肌に柔らかく添うその布地は・・・たった1枚隔てただけでなにも付けていないわたくしの背を望月さんの右手に簡単に与えてしまったのですから。
「まだ、何もしてません。」
何も・・・?
望月さんの右手はわたくしの背をいまでは背筋だけでなく、時には脇腹近くまで縦横無尽に這っていました。
それもゆっくり・・・微かに中指の先だけを触れさせて。
左手は、器用に髪をまとめていたリボンを解き、今はわたくしの後頭部をやさしく揉みほぐしていたのです。
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コメント
一気に読破しました。

う~ん..リアルタイムで読めなかったのは残念だ。
一番の佳境だったのに..

また、感じさせてもらいに来ます。


2006/11/20 11:33| URL | melto  [Edit]
melto様
週末お忙しかったのですね。
でも、一気に味わうのはまた格別だったのではないでしょうか?
あと1週間・・・わたくしたちの時間を一緒にお楽しみくださいませ。

2006/11/20 16:05| URL | 祥子  [Edit]
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