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SnowWhite 3

「名前はなんて言うんですか?」
「白雪っていう名前だ。」
「はくせつ?また難しい名前ね、どんな字を書くんですか?」
「白雪だよ。白雪姫の白雪。」
「あら、でもしらゆきちゃんじゃないってことは、男の子なんですか?」
「そうだよ。だから祥子さんの知らない若い牡が一頭一緒にいることになる。」
若い牡。その言葉に少しだけドキッとしました。
ただのペットなのです。
寂しがりやの犬種だということは知っておりました。きっと高梨さんがいらっしゃる間は、可愛いパートナーとしてお部屋で飼ってらっしゃるのでしょう。
「楽しみが1つ増えましたわ。」
「それならよかった。」
片頬で笑う高梨さんに、わたくしはほっと小さなため息をつきました。
考え過ぎ・・・・でした。1年前のお正月のせいでそんな風に考えてしまう自分の過剰反応に、わたくしは苦笑いをかみ殺すしかありませんでした。

まったくの山道になって数分。右の山肌を上ってゆく細い道へとパジェロがウインカーを上げました。
「もうすぐそこだよ。」
急な坂道を上り数軒の民家を通り過ぎると、その先には開けた畑が広がっていました。
道の正面。突き当たりの木組みの大きな平屋の玄関先に、はしゃぐ白い犬が見えたのです。
「あそこだ。」
「すてきね。ログハウスみたいな木組みのお家なのね。」
「よかった。そう言ってくれてうれしいよ。」
家の脇にパジェロを停めると、高梨さんはわたくしの荷物を持って先に下りてくださいました。
わたくしは、小さなハンドバッグだけを手に、車を下りたのです。
わふ・わふ・・わん・わん・・ 
飼い主と同じ様に太くて落ち着いた大型犬特有の鳴き声が、パジェロのドアを開けた途端に聞こえてきました。
長いリードで周囲を自由に動ける様にしているとはいえ、一人にされて寂しかったのでしょうか。高梨さんの姿を見るなり尻尾をぶんぶんと振って喜んでいるのがわかります。
飼い主とペットは似るといいますが、お髭の高梨さんの膝にじゃれている白雪は、もこもこの冬毛の表情がとてもキュートだったのです。
「はじめまして、白雪。よろしくね。」
一瞬、だれ?といった表情でわたくしを見たサモエドは、彼の前に膝を折って視線をさげたわたくしの側にきて2・3度、高梨さんとわたくしの顔を交互に見やると、わふ・・と一声鳴いて、差し出した手をぺろっと一舐めしてくれたのです。
「やっぱり祥子さんのことを気に入ったみたいだ。」
「そうですか。」
「ああ、ほら。もう甘えモードに入っている。」
白雪はわたくしに腰を押し付けるようにすると、撫でてくれと言わんがばかりに尻尾をふって、わふ・・と一声上げるのです。
厚くて白い毛皮の層は、まるで極上のムートンのようでした。
「ん、かわいいわ。わたくしのところではペットが飼えないから、こんな子を見ると羨ましくなっちゃう。」
「ここに居る間だけでも、堪能していったらいいよ。さ、これから3日間ゆっくり白雪とも過ごせるんだ。このままここに居たら凍えてしまうよ。家に入ろう」
立ち上がるわたくしのブーツの足元を白雪が何度も行き来をするのです。
「ごめんね。また後で、ゆっくり遊びましょう。」
つぶらな瞳で見上げる大きな白い犬の頭を撫でて、わたくしは高梨さんのご自宅へ入ったのです。
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コメント
【夢のかよひ路】…
祥子様、こんにちは。
ドキドキしながらそして何かに包まれる様なこちらのストーリーが大好きです。望月様の心まで抱いて下さる情熱的な逢瀬が私の中のいけない部分に火を付けられた様です…今回のお話し、料理BOOKという箇所も非常に気になります。女性として憧れる祥子様の私生活・businessスタイル・出てくるお品も参考にさせて頂こうと要チェックです。笑)

2007/02/18 11:58| URL | 柚  [Edit]
ゆっくりゆっくり…心の通い路を行きかう想い。

淫らであること、えっちな間柄だけが男と女では
ないですね。

もちろんそれが抜きでもつまらないのですが(笑)。

2007/02/18 18:22| URL | eromania  [Edit]
雨も上がってしっとりした春の夜です
柚様
ありがとうございます。
実は、望月さんはこちらの男性の中でも一番人気の高いキャラなんです。きっとファンクラブを募集したら・・・会長選びが大変なくらい、素敵な男性ですものね。
今回は、望月さんたちとお逢いしている時のような贅を尽くした品は並びません。でも、その分ほっと大人の男性の心を掴むモテ・メニューはご紹介できそうです。
反響のあるお料理が沢山になったら、レシピを公開しようかしら(笑)、ね 柚様。

eromania様
<抜き>はありません(断言)。
なんせここは<淑やか>ですから。
でも、たとえば身体だけの関係のお相手だと逢えばセックスになりますが、恋人のようになればなるほどより日常が二人の間に入り込んで来て、でもその日常も甘い・・・そんな雰囲気ってありますよね。
大胆な行為にすぐにならない分、キスさえも甘いことをこのお話で思い出してくださいね。

2007/02/18 19:45| URL | 祥子  [Edit]
こころ模様
ゆったりと進む序章がいやおうもなく
期待をふくらませてくれます。

いつも祥子さんの装いには感服するばかりで、
今回も期待しているのですが、
ミンクのコートの下の装いはまだ披露してくれませんね
(笑)

また祥子さんのセンスに酔いしれることは
間違いないでしょう。

2007/02/18 20:00| URL | くろす  [Edit]
くろす様
今回はほんとうにゆったり・・・なので、途中で眠ってしまわれないか心配です(爆)。

男性にこうして装いを褒めていただくのは、うれしいですね。いまでは古い言葉なのかもしれませんが、TPOを考えて着るものは選ぶことにしております。
今回は個人のお宅へのお泊まりですが、あまり大きな荷物も粋ではありませんから、できるだけコンパクトな装いを心がけています。
バックスキンのリバーシブルコートも、お若い方のムートンは素敵ですが、わたくしの年齢でもミンクなら許していただけそうですものね。
いままでとは、少しトーンの違う物語。
どうかこたつのなかで楽しむようにゆったりとご覧になってくださいませ。

2007/02/18 20:19| URL | 祥子  [Edit]
家は柴わんこですが。可愛いですよね…!
純粋な目で見られると…。
逢瀬の為にペットホテルに預ける事もしばしばですが、彼には皆わかっているのでは…?なんて、どぎまぎしたりして…。
そうそう、今年は暖冬のせいか、わんこの抜け毛の時期も早いような気がします…、変です。

2007/02/19 01:18| URL | るり  [Edit]
るり様
柴くんですか。
全身筋肉のような可愛いボディと賢い頭脳。
そして口の堅い最高の相棒かもしれませんね。
彼になら、どんなに言って聞かせても口外されることも・・・裏切られることもないんですもの。

別館にもご参加ありがとうございます。
本館も、いままで以上によろしくお願い申し上げます。

2007/02/19 08:30| URL | 祥子  [Edit]
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