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21:00 3

男性はわたくしからビジネスバッグを受け取ると、エレベーターホールまでその風貌には似合わない紳士的なエスコートをしてくださいました。
下り直通エレベーターには美術館スタッフが待っていました。
わたくしたちが最後の客だったようです。
軍服から派生したトレンチコート。
メンズ仕立てのハードなロングコートの下に、ランジェリーしか身に付けていない姿で、はじめて逢った男性と寄り添っている・・・
監視カメラを通して、もしかしたらこのスタッフはわたくしたちのことを見ていたかもしれない・・・そう思うだけで恥ずかしさに身体が震えました。
「ありがとうございます。お帰りはこちらです。またのご来館をお待ちします」 
端正な20代の男性スタッフの声に送られながら、エレベーターの中に逃げる様に乗り込みました。
なのに・・・
 
「コートの下を見せてください」 
男性はあの声でわたくしに言うのです。
「いや・・・」 
わたくしは子供のように首を振りました。
「釦を開けて前を広げるだけでいいですよ。さあ、一階に着いてしまうまえに。もう時間がありません」 
甘くて深いわたくしを従わせる声。
「それともここで私にコートを奪い取られたいですか?ランジェリーのまま私の部屋まで人通りの多い道を歩きますか?」 
決して頷くことのできない条件だけを、わたくしの前に並べたてるのです。
「あとどのくらいで到着してしまうのでしょう。さぁ、私は嘘はいいませんよ」
その一言にわたくしはコートの釦を5つ・・・自らの手で外したのです。
さらに・・・水鳥が羽を広げる様に、コートの前を彼に向かって広げたのです。
あまりの恥ずかしさに男性の眼を見ることなど出来ませんでした。
彼の眼に浮かんだ満足の表情に気づきさえしなかったのです。
チン・・・ エレベーターが一階に到着するサイン音に、わたくしはコートの前をあわてて閉じました。
つと寄り添った彼の大きな身体に抱かれるようにかばわれた時、エレベーターが開きました。
5つの釦のうち4つを辛うじて止められたわたくしは・・・美術館フロアのカフェで出されるシャンパンに酔ったかのような風情で男性に寄り添いながら・・・他のエレベーターを待つ数組のお客様の前を通り過ぎました。
「良くできました。素敵ですね、ゴールドのランジェリーとは。ははは 白い肌に良く映えていましたよ」 
「や・・ぁ・・」 
エレベーターホールから出たところで男性はそう囁くのです。
ほんの数秒。なのにカメラマンである彼の眼は、わたくしのはしたない姿を記憶してしまっていたのです。
 
裾に近い5つ目の最後の釦を止めようとした時です。
「だめです」 
「どうして・・・」 
足首までのロングトレンチとはいえ、釦の位置は通常の丈のものと変わりありません。5つ目の釦は、丁度足の付け根の上あたりにあったのです。
「お仕置きですよ。私が言ってすぐに従っていればその釦まできちんと止められたのです。逆らうから止められなかった、風が強く吹けばガーターベルトの留め具を晒してしまう、その姿のままで私の部屋までくるのです」
高層ビルの並ぶその場所には特有のビル風が吹いていました。雨はしとしととまだ降り続いています。 
片手を傘に、もう一方の手を彼に奪われて・・・風が裾を翻せば、わたくしのはしたない姿はなんなく晒されてしまうのです。
「ゆるし・・て」 
トレンチコートは幸い、その重い素材ゆえにそう簡単に翻ることはないでしょう。
でも、コートの下に身に付けているのはゴールドの輝きをもつランジェリーだけなのです。
サテンのガーターベルトで吊ったストッキングとブラとパンティだけ・・・いつも付けているスリップすらない・・・ことを思うと激しい羞恥がわたくしを襲うのです。
フロントフロアには警備スタッフと数人のお客様だけがおりました。
美術館内には持ち込めなかった傘を取りに、ロッカールームに向かいます。
入館口・退館口と2つの出入り口があるうす暗いスペースでした。
男性は自らの傘をまず取りにゆきました。
「あなたの傘はどちらに?」 
そしてわたくしの傘の場所まで、3つのブロックを移動したのです。
コートのポケットから鍵を取り出します。
身体を傾け奥にある傘を取ろうとしたときです。
「やめて・・だめ」 
男性の傘の柄がわたくしのコートの前裾を引き上げるのです。
「待っているのですから、早く傘をとってください」 
わたくしの右脚の・・・ガーターベルトに 吊られストッキングが横切る・・・太ももがパンティの下部まであらわに晒されてしまいます。
「・・ゃぁ・・」 
簡単な鍵なのに、恥ずかしさに手が滑ってなかなか開けることができないのです。
男性の傘の柄は、5つ目の釦の所から裾に向けてゆっくりと滑ってゆくのです。裾はしだいに大きく開いてゆきます。
「早くしてください。それともその魅力的な脚をもっと見せつけたいのですか?」 
かちゃっ・・・男性の声に煽られて、ようやくわたくしは自らの傘を手に出来ました。
「ぁん・・お待たせしました」 
傘の柄は止まり・・裾は元に戻されたのです。
もう美術館の中ではないのに、わたくしの声は密やかに・・・欲情にかすれてしまっておりました。
「さぁ行きましょう」 
男性はわたくしの手を取ると、美術館のドアを外へと向かいました。
 
ビルとビルの間は、とびとびではありますが雨よけのファサードが設けられているのです。
男性は傘をさすこともなくわたくしと手を組んだままで歩き出しました。
右手は男性にとられ・・・左手には傘を持ったままビル風が時折吹く中を歩くことになったのです。
「私は高梨といいます。なんとお呼びすればいいですか?」 
フェルメールの写真の前で声を掛けられた時と同じように、男性は前を見たままでした。
「祥子です」 
そう・・・名前さえまだ存じ上げていなかったのです。
「しょうこさん、ですね。似合っていますよ」 
ふふ・・含み笑いをもらします。
「私のことはそうですね、ネットで検索していただければわかると思いますよ。 いずれ興味がおありになれば、ね」 
高梨さんというカメラマンはそう言うのです。 
「祥子さんもそうでしょうけれど、私も社会的な立場もあります。安心してください」
わたくしは写真の世界には疎いのですが・・・それだけ有名な方なのでしょう。
「はい」 
嘘をついているとも思えない、わたくしがあらがえないあの声と、なによりも彼の存在感に・・・このひと時我が身を預けることを決めたのです。
  
男性は美術館から有名ブランドが並ぶ通りに向かっていました。
「ブランドにはあまり興味はないのですが、ショーケースのディスプレイは見ていて楽しめます。ほらここも」 
そう言って、イタリアのメンズブランドのディスプレイの前に立ち止まるのです。
センスの良い上質なスーツを、まるで書斎で寛いでいるかの様にディスプレイしたウインドウは・・・さすがに見事でした。
「そうですね。ここまでいけばディスプレイも作品ですわね」 
わたくしは答えましたが、それよりも時折強く吹くビル風に気が気ではありませんでした。
「さきほどのジオラマの写真のように撮ってみたらおもしろいかもしれません」 
真面目な顔でそういうのです。
その時強い風が吹き過ぎました。
「あっ・・・だめ」 
傘を持つわたくしの手は、翻るコートの裾を抑え切れなかったのです。
ストッキングの上の白いふとももの肌までが・・・露になってしまいました。
「いいですね。ガラスに映ったあなたのはしたない姿ごと、フィルムに残したいものです」 
夜景の中ショーケースのガラスは、わたくしの淫らなコート姿をありありと映していたのです。
「やぁぁ・・・・」 
翻る裾を抑え、男性の腕に縋る様にわたくしは顔を伏せてしまいました。
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